[会議]APS March 2019及び日本物理学会年次大会での口頭発表

2019年03月17日

 走査型SQUID顕微鏡を利用したカイラルd波超伝導候補物質URu$_2$Si$_2$の研究結果についての報告をアメリカ物理学会(APS)March Meeting(ボストン)及び日本物理学会年次大会(九州大学)で口頭発表してきました。

 我々は、走査型SQUID顕微鏡を利用することで磁気的及び超伝導的(反磁性)不均一性を単結晶URu$_2$Si$_2$において観測しました。その結果、16.1-16.2Kにおいて鋭い強磁性相転移を示すシグナルを帯磁率測定から局所的に観測し、同じ領域で強い反磁性(超伝導特性)を示すことを明らかにしました。また、同じ温度・異なる場所で異方的・等方的な2種類の超伝導Vortex運動(次の段落を参照)を交流帯磁率測定において観測しました。これは、局所的にVortexのピニングポテンシャルが異方的($C_2$)・等方的($C_4$) になっていることを示唆しており、長年謎であったURu$_2$Si$_2$の超伝導回転対称性に関する有力な証拠であると考えられます。現在これらの結果を、論文として発表するための準備を進めております。

 また、MolerグループのPhD学生であり共同研究者であるIrene Pu ZhangがAPS March 2019で"Anisotropic Vortex Pinning in Single Crystal FeSe"のタイトルで口頭発表してきました。我々は、ネマティック超伝導体FeSe単結晶において異方的な超伝導Vortex運動を交流帯磁率スキャンから観測しました。この異方的な運動(我々はバタフライと呼んでいる)の持つ異方的な方向は直交した2方向が観測され、斜方晶結晶軸方向におおよそ対応していることを確認しました。我々の単純なトイモデル(二次のピニングポテンシャルを仮定)は、異方的なバネ定数から観測結果とほとんど等しいバタフライ像を、また等方的なバネ定数からは異なる等方的な像(我々はドーナッツと呼んでいる)を得ることができました。我々のFeSeにおける実験からはバタフライのみ観測されたが、URu$_2$Si$_2$においてバタフライとドーナッツの両方が観測された。現在この結果を、論文として発表するための準備を進めております。

題名: 走査型SQUID顕微鏡を利用したカイラルd波超伝導体候補URu$_2$Si$_2$の研究
(Study of chiral d-wave superconductor candidate URu$_2$Si$_2$ by using scanning SQUID microscopy)
著者: 井口雄介, I.P. Zhang, E.D. Bauer, F. Ronning, J.R. Kirtley, and K.A. Moler 
-APS March Meeting 2019 @Boston, X08.00010
-日本物理学会第74回年次大会(九州大学)、領域8, 14aS302-8

題名: Anisotropic Vortex Pinning in Single Crystal FeSe
著者: I. Zhang, L. B.-V. Horn, J. Palmstrom, J. R. Kirtley, Y. Iguchi, I. R. Fisher, K. A. Moler
-APS March Meeting 2019 @Boston, E10.00010

(C) 2018 YIguchi-condmat
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう