プロフィール
日本語/English
井口 雄介, 博士(学術)
連絡先
Senior Research Scientist, Geballe Laboratory for Advanced Materials, Stanford University
476 Lomita Mall, McCullough Room 137, Stanford, CA 94305, USA
email: yiguchi(at)stanford.edu
学歴
2009年3月 埼玉県立熊谷高等学校卒業
2013年3月 東京理科大学理学部物理学科卒業 (指導教官:満田節生)
卒業論文「スピン-格子系CuFe$_{1-x}$Ga$_x$O$_2$におけるスピンと格子の圧力応答」
2015年3月 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系 修士課程修了
2018年3月 同上 博士課程修了 (指導教官:小野瀬佳文)
博士論文「空間反転対称性が破れた磁性体におけるマグノン励起の非相反性」(UTokyo Repository)
職歴
2016年4月 - 2018年3月 日本学術振興会特別研究員(DC2)
2018年4月 - 2020年3月 日本学術振興会海外特別研究員
2018年4月 - 2020年6月 Postdoctoral researcher, Applied Physics,
Stanford University (指導教官:Kathryn Ann Moler)
2020年7月 - 現在 Senior Research Scientist-Physical, Geballe Laboratory for
Advanced Materials, Stanford University
受賞歴
2015年3月 広域科学専攻奨励賞
2016年4月 - 2018年3月 日本学術振興会特別研究員(DC2)採択
2017年1月 J. Phys. Soc. Jpn.
Papers of Editors' Choice
2018年4月 - 2020年3月 日本学術振興会海外特別研究員採択
2022年11月 Appl. Phys. Lett. Editors' Picks
2023年10月 PRB Editors' Suggestion
2024年2月 Phys. Rev. Mater. Editors' Suggestion
2024年5月 UJA Outstanding Paper Award
2024年7月 PRL Editors' Suggestion
2024年9月 PRB Editors' Suggestion
研究費獲得歴
2016-2018年 特別研究員奨励費 16J10076、1,400,000 JPY
「微細マイクロ波回路を利用した相対論的マグノニクスの研究」
代表論文(全論文はこちら、学会発表リストはこちら)
擬二次元超伝導体Pd$_x$ErTe$_3$における異常な超流動密度の温度依存性の観測
Y. Iguchi, J.A. Straquadine, C. Murthy, S.A. Kivelson, A. Singh, I.R. Fisher, and K.A. Moler
Physical Review Letters 133, 036001 (2024) [Editors' Suggestion]温度依存した非量子化磁束を運ぶ超伝導渦糸の観測
Y. Iguchi, R. A. Shi, K. Kihou, C.-H. Lee, M. Barkman, A. L. Benfenati, V. Grinenko, E. Babaev, and K. A. Moler
Science 380, 1244-1247 (2023)カイラル超伝導候補物質UTe$_2$における超流動密度および超伝導渦糸の局所的観測
Y. Iguchi, H. Man, S. M. Thomas, F. Ronning, P.F.S. Rosa, and K. A. Moler
Physical Review Letters 130, 196003 (2023)カイラル超伝導候補物質URu$_2$Si$_2$における超流動密度および自発的磁性の局所的観測
Y. Iguchi, I. P. Zhang, E. D. Bauer, F. Ronning, J. R. Kirtley, K. A. Moler
Physical Review B(Letter) 103, L220503 (2021)空間反転対称性が破れた反強磁性体におけるマグノン励起に起因したマイクロ波非相反性の定量的評価
Y. Iguchi, Y. Nii, M. Kawano, H. Murakawa, N. Hanasaki, and Y. Onose
Physical Review B 98, 064416 (2018)- マルチフェロイック物質を利用した非相反マイクロ波応答の電気磁気的制御
Y. Iguchi, Y. Nii, and Y. Onose
Nature Communications 8, 15252 (2017) 空間反転対称性が破れたキラル強磁性体における非相反マグノン伝搬の観測
Y. Iguchi, S. Uemura, K. Ueno, and Y. Onose
Physical Review B 92, 184419 (2015)
教育歴
2022/7 - 現在 Girls Who Code in Japanese, ボランティア講師, 日本&米国(online)
2022/5 nano@stanford,
Greenleaf TK-8 school, CA, USA, 客員教員
2021/12 Skype a Scientist,
Chardon Primary School, NE, USA, 客員教員
2013 - 2014 物質科学実験II/III, 東京大学, Teaching Assistant
2012/5 物理I, 埼玉県立熊谷高校, 教育実習、3週間
運営・座長
2022/6 - 現在 Co-Founder & Organizer, Japanese Academic Seminars at Stanford, CA2024/1 - 現在 Project Leader, 海外日本人研究者ネットワーク(UJA), WG10, Community Launching Support
2024/9 - 現在 Vice Chair, 北カリフォルニア, UJA論文賞2025
2022/7 - 現在 Co-Founder & Organizer, Girls Who Code in Japanese, Japan
2024/3 Session chair, American Physical Society March Meeting 2024(Minneapolis), Session D16
2023/12 登壇者, "子どもの可能性をつぶさない!数学嫌いにならない子どもに育てるには?",
ECC ウェビナー
2023/11 Panelist, "The
Interaction Crisis: Reshaping Synchronous Online Education,"
SpatialChat public webinar
2023/9 登壇者, "海外日本人研究者コミュニティのさらなるネットワーク強化,"
第1回UJA総会 (在ボストン日本国総領事館)
2023/9 運営代表, 女性研究者の海外キャリア, 1st JASS&SA Webinar, 日本&米国(online)
2023/9 座長, 第78回日本物理学会年次大会(東北大)、16aB101後半
2022/8 Session chair, 29th
Inter. Conf. on Low Temperature Physic (LT29), Sapporo
2020/5
- 20221/7 Organizer, TED circle at
Bechtel International, Stanford University, CA
2019/12 Session chair, 32nd
International Symposium on Superconductivity (Kyoto)
査読・審査
2024/8 Judge for 2024 Poster Award, Japan
Society for the Promotion of Science, San Francisco Office,
Researcher
Gathering 2024 Summer
2023/9 学生優秀発表賞審査委員、領域6, 第78回日本物理学会年次大会(東北大)
ピアレビュー査読, Science, npj Quantum
Materials, Scientific Reports, Science Progress
短期滞在歴
2019/1 Max Planck Institute for Chemical Physics of Solids, Dresden, Germany (C. Hicks group)
2018/6 大阪大学 (N. Hanasaki group)
2012/11,12, 2013/2 Photon Factory at KEK (BL-3A, H. Nakao group)
2012/10 SPring-8 (BL-29XU, Y. Tanaka group)
2012/4 物質・材料研究機構 (N. Terada group)
実験技術
測定
- 極低温測定 (無冷媒希釈冷凍機、液体$^3$He/$^4$Heクライオスタット)
- 走査型SQUID顕微鏡測定
- 磁場中マイクロ波測定
- マイクロ波回路設計
- フォトリソ・EBリソグラフィによる微細マイクロ波回路作成
- 機械的一軸圧力印加測定
- 圧電体を利用した微小一軸圧力印加測定
- 放射光X線回折測定
試料作成
- 多結晶膜作成(電子ビーム蒸着・スパッタ蒸着・抵抗加熱蒸着)
- 単結晶作成 (FZ法、フラックス法)
その他
- 放射性物質取り扱い (URu$_2$Si$_2$,UTe$_2$)
- プログラミング (Perl, Python, MATLAB)
- 測定機器遠隔操作 (Lab view, MATLAB, Python)
研究プロジェクト
3. 走査型SQUID顕微鏡を利用した非従来型超伝導体の局所超伝導状態の研究
Senior Research Scientist(2020-現在)/博士研究員(2018-2020)、スタンフォード大学
日本学術振興会海外特別研究員制度の援助を受けスタンフォード大学応用物理・物理学科に所属するMolerグループに博士研究員として2018-2020年まで在籍し、現在はSenior Research Scientistとして同グループに在籍している。我々は無冷媒希釈冷凍機(BLUEFORS)の立ち上げ及び走査型SQUID顕微鏡を新たに導入した。
無冷媒希釈冷凍機を利用してカイラルd波超伝導候補物質URu2Si2の局所観測を行いd波超伝導体に特徴的な超流動密度の温度依存性の観測に成功した(Phys. Rev. B(Letter) 2021)。また、近年新たに発見された奇パリティカイラル超伝導候補物質UTe$_2$の高純度結晶において、多重相転移の欠如の実空間観測及び非対称な超伝導ギャップ構造に起因した超流動密度の温度依存性の観測に成功した(Phys. Rev. Lett. 2023)。また、層状超伝導体Pd$_x$ErTe$_3$において異常な超流動密度の温度依存性を観測し、量子揺らぎと温度揺らぎを考慮した2次元モデルである量子回転子モデルとよく一致することを明らかにした(Phys. Rev. Lett. 2024)。
同時期に導入した無冷媒4K冷凍機においてマルチバンドに起因した$s+is$超伝導候補物質である鉄ヒ素超伝導K$_x$Ba$_{1-x}$Fe$_2$As$_2$において、磁束量子の一部のみを運ぶ渦糸の観測に初めて成功した(Science 2023)。
2. 空間反転対称性が破れた磁性体におけるマグノン励起の非相反性
博士課程、東京大学 (2013-2018)
小野瀬研究室に一期生として参加し、マイクロ波測定プローブを立ち上げ、単結晶作成、マイクロ波アンテナの設計とフォトリソグラフィーによる微細加工を行い、ラシュバ効果のマグノン版というべき、マグノンバンドの非対称性に由来する非相反マイクロ波応答をキラル系で初めて観測した(Phys. Rev. B 2015)。 また、立ち上げた20GHzマイクロ波測定系を利用してマルチフェロイクスにおける非相反マイクロ波伝搬の外場制御(Nat. Commun. 2017; Appl. Phys. Lett. 2022)を行った。またより高周波を測定できる40GHzマイクロ波プローブを作成し、共鳴周波数が高い反強磁性マルチフェロ物質における非相反マイクロ波応答の観測及び観測された非相反性の定量的な評価に成功した(Phys. Rev. B 2018)。
1. スピン-格子系CuFeO$_2$の磁気相転移における格子の圧力応答
学部4年、東京理科大学 (2012)
スピン-格子相関の強いマルチフェロイクスCuFeO$_2$において、相転移点付近で格子が非常に大きな圧力応答を示すことを、一軸圧力中放射光X線回折実験から明らかにした(J. Phys. Soc. Jpn. 2013)。