[論文]無限層ニッケル酸化物の強磁性と超伝導の実空間観測
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無限層ニッケル酸化物の強磁性と超伝導の実空間観測を行なった研究が 米国物理学会が発行する学術雑誌「Physical Review Materials誌」に2024年2月21日付で掲載されました。この論文は、Editors' Suggestionに選ばれました。
この研究では、電気を抵抗なしで伝導する超伝導現象の新しい可能性として、無限層ニッケル酸化物の磁気特性に注目しています。私たちは、走査型SQUID顕微鏡を用いて、予想外の微小な磁気粒子を発見し、それらが超伝導とは異なる信号を示すことを明らかにしました。
研究の焦点は、それぞれ異なる磁気特性を持つ3種類のニッケル酸化物に置かれました。これらの中で、通常超伝導体には見られない強磁性が確認され、その源として超伝導材料内に存在するニッケル酸化物粒子が特定されました。また、超伝導状態における渦系や超伝導の強度分布についても詳しく調べました。
この研究から得られた知見は、ニッケル酸化物粒子の影響を実験設計や分析に考慮する必要性を示しています。これらの粒子を適切に理解し、管理することが、さらに高度で効率的なニッケル酸化物薄膜の開発につながる可能性があります。
R. A. Shi, B. Y. Wang, Y. Iguchi, M. Osada, K. Lee, B. H. Goodge, L. F. Kourkoutis, H. Y. Hwang, and K. A. Moler
Scanning SQUID study of ferromagnetism and superconductivity in infinite-layer nickelates
Phys. Rev. Materials 8, 024802 (2024). [Editors' Suggestion]